クリニックレポート(松永敏氏・Rick Butler氏)

2015年10月11日(日)に埼玉県久喜市の平成国際大学にてJVCAクリニック2015を開催いたしました。講師は同大学バレーボール監督の松永敏氏とアメリカで最も成功を収めているバレーボールクラブ経営者の一人、Rick Butler氏の二人でした。お二人は旧知の仲で、日本のバレーボールから基礎を学んだというButler氏が、最初に日本バレーボールの視察・研修に来た際、Butler氏を案内したのが松永氏であった。そんな関係もあって、松永氏の勤務先である平成国際大学にてクリニックが行われました。

講師

松永敏氏
平成国際大学男女バレーボール部監督。大学4年時に日立茂原バレーボール部(のちの茂原アルカス)創設時の監督となり、その後、カナダ、インドネシア、ミャンマー、アメリカ女子プロチーム、ノルウェーなどの国々で指導。上尾中央病院バレーボール部(現 上尾メディクス)の創設監督、東京ベルディチームアドバイザーを経て、平成国際大学バレーボール部創設監督となる。

Rick Butler氏
Sports Performance Volleyball Clubオーナー。3~18歳の1500人を越える会員と100人以上のコーチをかかえる全米有数のバレーボールクラブの経営者であると同時に、18歳のトップチームの監督、全年齢の全チームのコーチを育成するマスターコーチ(コーチのコーチ)として、日々現場でプレーヤーの育成に携わっている。彼が監督するチームは年2回ある18歳トップクラスの全国大会で過去30年で35回の全米優勝を記録している。「ゲームはゲームで学ぶ」という風潮が強いアメリカにあって、反復練習とゲーム練習とのバランスを重要視して、成果を出している指導者である。

クラスルームセッション

松永氏のプレゼンテーションではRick Butler氏との出会いから始まりました。Butler氏がアメリカでどれくらいに活躍している指導者なのか、そして彼のクラブが12面のコート所有していることなど、日本でのバレーボールクラブとは意味合いが違うことを紹介しました。Butler氏は全米で最も成功している指導者と言っても過言ではありません。そして、世界各国での指導を通しての経験から、日本の指導に足りないことや、CoachingとTeachingのバランスがどうあるべきか、などを説明してくれました。

Butler氏は最初にバレーボールクラブがアメリカで成立している背景を説明してくれました。大学の学費が高騰しているアメリカでは、子どもを持つ親にとってアスリート奨学金をもらえることがとても重要になっています。高校時代に良いバレーボールプレーヤーになって、大学の監督に認められれば、無償で大学教育を受けられることを意味しています。親たちは良いクラブで良いプレーヤーにしてもらうのは、子どものための投資になるわけです。クラブとしては大学の監督に認めてもらうために、大会に勝つことを考えそうなものですが、Butler氏は違います。彼はプレーヤーの育成を第一に考えています。高校時代にチームが勝って大学にスカウトされても、大学に行って伸びないようでは、大学で使ってもらえないプレーヤーとなってしまいます。プレーヤーが次のレベル(高校の次の大学)で実力を発揮できる下地を作るということを最優先にして指導してきた結果、全米で何度も優勝するチームを作っています。Butler氏は「今勝って、将来負ける」か、それとも「今負けて、将来勝つか」と何度か口にしていました。彼のクラブの14歳以下チームの全国大会優勝は一度もないそうです。しかし、18歳エリートチームはほとんど決勝に残り、高い確率で全米優勝を成し遂げています。
また、3年ほど前にスタートさせた幼児から小学生のプログラムでは、全米サッカー協会が徹底的に調べ上げた、どの年代で何をどのようにトレーニングするのが最も効果的かという調査報告をバレーボールに落とし込み、実践しているそうです。この年代ではバレーボールの技能そのものよりも、基礎運動能力を高めておくことが後のより良いバレーボールプレーヤーにするには重要なのだと語っていました。

オンコートセッション

オンコートではクイックなどに限定して、連続で強打を打たなければいけないという条件設定し、完璧なレセプション、セット、アタックを達成しないとドリルが終わらないことにより、他のプレーヤーがストレスを感じる状況を作ったり、サイドアウトを最初のレセプションアタックを決めなければ点が入らなかったりするようなゲームライクドリルを紹介してくれました。

フォトギャラリー

[Best_Wordpress_Gallery id=”4″ gal_title=”JVCAクリニック2015(Rick Butler氏)”]

Follow me!